詩(8)

  アメリカ・バイソン


あいつに出会ったのは 
三角形したあるさびれた村


短い首に巻いた赤いタイ 
毛むくじゃらの体はみるから獰猛
あいつは道の真ん中で 
アルコールくさい息を吐きながら眠っていた
そのふてぶてしさ! 
その見事な醜さ! 
俺はしばらく息を詰めていたが 
ふいにげらげら笑いだした 
あんな変わった奴は初めてだった 


だがその時 
いぶし銀色にひかる奴の目玉が見開いて
俺はあっと叫ぶ間もなく 
やつの怒りに高く放り出された


ロケツトのように空を行きながら 
俺は中天にかかる月
砕けたバイソンの角のような 
三日月を見た 
そして流れ星となって空を飛びながら
並んだ星座に 
はっと白い息を吐きかけたんだ