アメリカ・バイソン
あいつに出会ったのは
三角形したあるさびれた村
短い首に巻いた赤いタイ
毛むくじゃらの体はみるから獰猛
あいつは道の真ん中で
アルコールくさい息を吐きながら眠っていた
そのふてぶてしさ!
その見事な醜さ!
俺はしばらく息を詰めていたが
ふいにげらげら笑いだした
あんな変わった奴は初めてだった
だがその時
いぶし銀色にひかる奴の目玉が見開いて
俺はあっと叫ぶ間もなく
やつの怒りに高く放り出された
ロケツトのように空を行きながら
俺は中天にかかる月
砕けたバイソンの角のような
三日月を見た
そして流れ星となって空を飛びながら
並んだ星座に
はっと白い息を吐きかけたんだ