気がつくと一人ぼっちになっていた。あたりが急に暗くなり、不意に、だれかがぼくを突き飛ばし、ぼくは坂道を転がってどぶに落ちた。 どぶの中には、空き缶ガラスびんビニールごみや魚の死がい。どこからか声がする。ーこっちにきてーわたしをあたためて。み…
若いころから、通っていたクラシック喫茶店「コギト」が閉店した。残念なことだ。コギトは昭和五十年白山の近代酒房ビルに開店した。気のおけない素人はだしの店で、開店当座から日課のように通いつめていたのだが、勤めを辞めてからは足が自然に遠のき、最…
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