霧雨が野づらを濡らしてる ぼんやりと明るい空だ 男は夢見るように歩いている いつからか 大きくて黄色い蝶が 上空で羽ばたいている それはまるで 迷っている魂のよう その柔らかい羽音は 男の頭上を離れない 夢を吸い取るように 虹が浮かんだ ゆっくりと 日…
かもめ 喫水線を舞い降りる 鳥の群れを たえず洗い続けてきた 柔波の ふくらむ確信にちかく あれらは実体から 時間の壁をつきすすむ灰色の影なのだ 海鳴りのこだまの間に 刻まれた陰画 飛翼の軌跡 夕陽の残痕 その中に かすかに震えるひびきを聴く 遠いもの…
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