2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧

詩(4)

小さな影 庭の木に 白いものがかかっている 春の朝 眺めている遠方の空から おおい おおい 死んだ妹が呼んでいる 白い雲が下の方に垂れ下がって その下から歩いてくる 小さな影が呼んでいるのだ 私は黙ったまま 机に頬杖をついてその声を聞いている 井 戸 庭…

詩(3)

僕と一緒の月 僕は寝床にありながら 顔の近くの月を感じる それは黄色くて明るく そして静かな光環である 僕は彼に額を近づけ 温めようとする と−−彼は逃げる 煙のようなかすかな光芒を後に引き しかも身は隠れて笑いだす ああもう僕はめくら その笑い声 ま…

詩(2)

ある春の日 金色の塵介で 埋まった道を歩いていくと 足元から雲が湧き つぎつぎと湧き たちまちのうちに 薄く白いものが 僕の全体を包んでしまった 陽は臆病そうに 空の奥に引っ込み 鈍い光を放つ池は 動きもしない 退屈な僕は 池のこっちで 思い切り大きな…

詩(1)

陰 画 これは故郷が わたしにみせかけた 死んだ山だ 見てごらん 小人が一人 むっくりと立っている - 母 実のところ 弁解すべきだった それを こともあろうに ピンで油虫をつきさし 母の前に突きだした 笑うことが このように 無惨なものであろうとは…… 母は…