いつのまにか迷ってしまったらしい。今まで歩いてきた道は急にせまくなり、私のまわりには、 夜眼に白い葉うらを舌のように動かして、ただ一面の菖蒲の原がひろがっていた。街のあかりはも う見えず、なまぬるい風が無数の蛙の鳴き声を運んでいた。 その時足…
いつのまにか、あちこちに現れたうす茶色の明るい斑が、みるみる白い地をうずめて拡がり、い っとき激しく息づいて変化する。やがてその波がおさまると、また次第に収縮し、いつか嘘のよう に消える。 たえまなく動きまわる光の影のように、とくに定まった形…
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