俺は、この街のはずれに十年住んでいる。 がらくたの寄せ集めみたいな処で、どこといってとりえはない。曲りくねった暗い小路の両側に は倒れかかった軒並が続き、ペンペン草の生えた瓦屋根の上では、雀がしたり顔に跳びはねている。 この地方の自治体の職員…
いったい私はどうしたのだろう。その時ほど私自身を無力なものに感じたことはない。私には考 える力もない。話す力もない。そしてただ地虫のように這っていたのだ。それが生きている唯一の 証拠のように――。 足がだるかった。手も腰も鉛のように重たい。時折…
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