2011-09-10から1日間の記事一覧

倦怠(下)

いつのまにか迷ってしまったらしい。今まで歩いてきた道は急にせまくなり、私のまわりには、 夜眼に白い葉うらを舌のように動かして、ただ一面の菖蒲の原がひろがっていた。街のあかりはも う見えず、なまぬるい風が無数の蛙の鳴き声を運んでいた。 その時足…