2012-10-19 山風 明るい木立のなかで ぼくらは出会った どこかで見たような顔だつた ーこんにちは 知り合いではないが ぼくらは声を交わす すれ違ったとき 互いのリュックがぎいぎいきしんだ 振り返ると 下りて行く赤い帽子が 木立のあいだに見え隠れする どこかで見たようなあの帽子 ー変装してもすぐ分かる あれは昔会ったことのある サーカスの熊さんー ごおっと風が吹き 朴の葉が舞い上がる 空高く舞い上がる 飛ばされた赤い帽子を追って 熊さん駆け出した 駆け出した