チーコと私の病床日誌(41)

2月29日(月)今日は、夕方になって風が強まって気温が下がり、吹雪になった。風呂に入っていても、換気扇の蓋がかたかた鳴る。「ここには独りでは住みたくない」とチーコはよく言っていた。家は集落の北の端だし、風が強い日は、竹林がきいきい枯れた音をたて、障子がかたかた鳴る。私が勤務していた頃も、出張のときは、必ず同伴して、どこへでも附いて来た。兄弟会で福岡に行ったときも、私だけ泊まらなかった。今、妻はホームに居て淋しくないというが、ほんとにそうだろうか。
3月1日(火)今日から3月なのに寒い。今日はジョイフルで食事した。ここでは老人向けの定食が色々用意されていて、それに飲み物は自由だ。今日は、キャベツつきのハンバーグにパン、後でモカコーヒー。これで530円は安い。寝る前はスーパーのお握りなど軽いもので済ますので、昼は肉類を摂るようにしている。

3月2日(水)晴、朝から洗濯物を干し、裏庭の梅の花を採ってきて瓶に活ける。人のために咲いているわけでもない花が、どうしてこんなに綺麗なのだろう。花を拡大鏡で見る。薄桃色の花びらの中から、無数の糸のような細い花芯を伸ばしている。桜は華やかだが、梅は凛としていい。