詩(1)

  陰 画


これは故郷が 
わたしにみせかけた 
死んだ山だ
見てごらん 
小人が一人 
むっくりと立っている


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  母


実のところ 
弁解すべきだった 


それを 
こともあろうに
ピンで油虫をつきさし 
母の前に突きだした


笑うことが 
このように 
無惨なものであろうとは……


母は歯のない口をあけて 
ぼんやり笑った
俺は歯を食いしばり 
なおも油虫をつきだした


すると母は 
首をゆっくり振ると 
およし お前
疲れてるね
と云った


                                                                                                                                                              • -