詩(夕映え)

向かい合った一対の
ひとつは優しく
ひとつは悲しげに見つめ合う


木の葉が落ちてー
ゆらり
反転した空に映る
在りし日の記憶


遠くの木の葉が落ちてー
目に宿る空の不思議な色あいが
軽い驚きとともに戻ってくる


どこにいるのだろう
このわたしは
ああ
ひとりは叫ぶ
そしてひとりがしずかに微笑む


降り積もる葉に埋もれた廃園の
光さざめく池の辺り
ふと立ち止まる風は
一対の彫像をあやしみ振り返る


ああ わが想いよ! 
ひとつは手をさしのべ
ひとつは腕をひろげてー
まばゆい夕映えのなかに