冬の鳥2編

「水鳥」


もうすぐ暮れる山の湖に 
小さな影二つ三つ 
水面にたたずむ冬の水鳥 
はるばる北の国から飛んできて 
こんな淋しい水辺に降りたってー


君たち 
今夜はここで眠るのかい 
寒いだろうな 
辛いだろうな 
君たちの父や母はどこ? 
兄弟はどこ? 


冷たい風が吹くときは 
やっぱり 
羽の下に頭を入れて 
眠るんだね 


ここは今
すっかり冬に閉ざされて
人間たちは
小さな家にひきこもり
相も変わらぬ
身の程知らずの愚痴ばかり


おやすみ 
けなげな君たち 
温かい部屋で眠る人間も 
豊かさでは君たちに及ばない 


おやすみ
白い雪が降るときは 
遠い春の夢を見るんだね
おやすみ 
自然の中の賢い仲間
冬の水鳥たちよ




 うぐいす


ここです
わたしはここですよ
さざんかのはなのあいだ
めだたない
あさぎいろのとり
それがわたしです


わたしはうぐいす
なきごえがおもしろい
といわれていますが
いまはうたどころではありません
むしをさがしているのですが
なかなかみつかりません


そのうえ
きたかぜがふくようになって
かぜをひいてしまい
こえもすこししかでなくなりました
たかやもずもこわいので
こうして
さざんかのしげみにかくれながら
たべものをさがしているのです


でももういっときのしんぼうです
はるのなったら
うめのきのこずえでなきます
それこそ
せいいつぱいこえをはりあげて
こいをするんです