(詩)鉛筆

肥後の守で鉛筆を削ると
さくりとした柔らかい木の触感が手に残り
同時に新鮮な香りがぷんと来た
それは小学校のころ
自然と調和する生活文化があったころ


珍しいだろ
職場の同僚が箱入りの一ダースの鉛筆を見せた
食べられるんだぜとぽきぽき折っては口に入れる
まさか‥‥恐る恐る手に取って齧ってみると
これが意外にうまい
サクサク感のチョコレート風ペンシル
茶色の木の部分と芯の黒いところでは味が違う
鉛筆をぽきりと折る時の決断力と
口の中に入れて噛み砕く時の爽快感が
なんとも言えない魅力だ


もちろん書けもするよ
白紙に大きく「地球印」と書いて見せた


以来書き物をする時は
すっかり鉛筆党になってしまった
柔らかい木目をかりりと齧り
涼しい芯を舐め舐め
新たな文化の視点を探求する
今ではボールペンなど見向きもしない