チーコと私の病床日誌(122)

8月9日、晴、百日紅の白花と紅葉饅頭を持って、ホームへ。お菓子の催促はいつもの通りだが、今日は、自分から、「立ち上がりたい」というので、車椅子から、抱きかかえて立たせてみたら、ほんの少しだが、立った。嬉しかった。ただ、動かない左手や、両足先の皮膚が紫色になっているので、たまたま来たケースワーカーに訊いたところ、車椅子で打ったのではという返事。納得がいかないので、帰りに職員に再度訊いたが、「帯状疱疹」が直ったところという説明だった。帯状疱疹は、片方だけの神経に沿って体全体にできるそうなので、これも納得できないが、「たちたい」と言ったことと考え合わせて、チーコの前向きの意思を感じるのは、私の希望的想像だろうか。一杯になったチーコの日記と写真を持ち帰る。
8月15日、雨、弱い台風が来て、やっと雨が降り、気温も31度に下がった。
8月16日、朝8時、いつも盆に来る高木瀬の妹に電話。今年は暑くて、何もする気になれなかったとのこと。お互い熱中症を心配していたが、何事もなし。涼しくなったらおいでと伝える。
8月17日、朝曇、8時〜10時、竹生垣の裏側を剪定。
8月18日、晴、11時から、介護保険負担割合証を持ってホームへ。チーコは眠っていたようで、目が覚めると、しきりにお菓子を催促する。帯状疱疹は大分良くなったが、写真帳にも興味を示さず、認知症が進んでいるようだ。こっちが話してもあまり反応がなく、妻に日記を書かせるが、全く読めない。「教えてください」という言葉だけが、何度も訊きなおして聞き取れた。足をベッドに置いて、「立てるようになったら、帰れるよ」と細い足を揉むが、哀れで悲しい。食事前の12時に別れる。

伊勢花火