チーコと私の病床日誌(59)

6月5日(日)昨夜は、入浴後早く寝て、咳もなく熟睡し、風邪も治ったと思った今朝だったが、まだ咳が出る。熱もなく、血圧は119。何故だろう。その上ずっと食欲がないのは何故か。風邪を理由に、ひと月以上も妻の見舞いに行かず、当地は早くも梅雨に入ったという。
6月9日(木)朝10時半、佐賀新聞社生活文化部(M氏)に電話、11時頃、1階受付に原稿(以下)を届ける。  
[何をどう書くか]
 梅雨が終わると、そろそろ県文学賞応募の季節になる。今年も数多くの作品が集まって来ることだろう。去年は、一般部門で、小説26編、随筆39編、詩41編。ジュニア部門で、小説27編、随筆4編、詩67編。短歌、俳句、川柳までだと、一般487編。ジュニアで1455編にもなる。
 人は誰でも、日ごろ、自分が心の中で思っていることや考えていることを人に打ち明けたい、判ってもらいたいという気持があって、それが、書きたいという動機を支えている。文学賞に応募する人の動機は何だろう? 自分にその才能があるか試してみたい、出来れば上位に入賞したい、と思っていた人も、結果が思わしくなければ、それは、書いた材料か、述べる方法、あるいはその両方に問題があったのだと思うほかはない。ものを書くのは料理を作るのに似ている。
 3人の審査員は、一つ一つの作品を味わい、テーマ、文章、叙述の方法、構成などを総合的に判断し、議論、相談しあって、順位を決める。平凡なテーマでも、視点、書方によっては面白く読めるものもある。誰だって、普通に生きている以上、そう変わった体験をした人は居ない。時には、実際には無かったことも書く。作品を面白くする想像力=虚構も小説を書く人には必要だ。
 ジュニア部門では、登場人物やストーリーにテレビ漫画の影響が見られる。現実とかけ離れた空想世界もいいが、同時に地道にまわりを見詰める眼を養ってもらいたい。既成小説の呪縛から抜け出した新しい世界で、地の文と会話のつながりを整え、臨場感ある、みずみずしい作品を創って欲しい。(県文学賞企画委員ー著書に「獣の眼」「寓話」など。
6月10日(金)晴、10時半M病院で診察。漢方薬と食欲が出る薬を処方してもらう。ジョイフルで昼食後、家に帰り、昔の映画「ローマの休日」を観て、体調がよくなったので、3時半ごろホームへ行き、久しぶりに妻と会う。妻は大分来なかったね、と喜ぶ。私も嬉しい。晴れているので、車椅子を押して駐車場の東の堀の傍でしばらく談笑して帰る。
6月11日(土)多少雲があるが晴、しばらくしてなかった拭き掃除をする。体調は悪くない。

やまゆり