かもめ
喫水線を舞い降りる
鳥の群れを
たえず洗い続けてきた
柔波の
ふくらむ確信にちかく
あれらは実体から
時間の壁をつきすすむ灰色の影なのだ
海鳴りのこだまの間に
刻まれた陰画
飛翼の軌跡
夕陽の残痕
その中に
かすかに震えるひびきを聴く
遠いものの幻影を見る
軌跡の日々は変わらず
打ちひしがれず
すでに逞しく
雄々しきもの
いのちの惰力賭ける
運命の海渦
たちまちつばさ百尋の水底にゆらぎ
ちぎれたマスト風に漂う
無辺の海
悠久の椀
ここに青春が転がって
俺もころがって
幾年
あの遠い空を詩が流れていく