逆 行
長い時の回廊の突き当たり
真っ白い扉を開けると
そこは夜の国
凍てつく氷の世界が広がっている
思いださないか
夜の国の駅には
失われた昔の時間が
そのまま閉ざされていて
私を出迎えるのは
あの頃のおまえと幼い子供たち
(やっと帰れたね)
(ああ待たせたね)
こうして永いこと
なおざりにされた時は甦り
やがて
家族を乗せた橇が
素晴らしい速度で
過去の氷河を滑走するのだ
幼い子らが笑い
若いおまえが笑う
北極の空にオーロラが燃え
星が流れて
思いださないか
長い時の回廊の突き当たり
白い扉を開けると
そこは過去の国
懐かしいあの頃の歌が
ほら 聞こえてくる