詩(12)

  蒼 穹


西風が吹く 
遠く葦の葉をひるがえし 
裏の竹林をきしませ 
枝折戸をたたく


青畳の座敷 
下帯ひとつの男が眠って 
夏の一日 
白雲の夢をみる


ひねもす鳴くは
よしきり 
遠くで人の声がして
…ふと
風がやむ 


みじろぐ男の
眼窩に落ちる 
山の孤光
天の舵ぎいと回り
また、どどっと
風がゆく