チーコと私の病床日誌(105)

11月6日、晴、午前中、シーツと懸け布、バスタオル等を洗って干す。
11月7日、曇、午前中、家西側の枯れ草を取る。
11月9日、晴、朝、下着を洗濯して干し、ゴミ(雑誌と空き缶)を出す。昼からは、孫の貯金。その後、ホームへ行き、インフルエンザの予防接種を申し込み、部屋で、チーコに御菓子をあげる。2度、淋しくないねと訊いても、淋しくないと言うからそうなのだろう。また、一緒に山に登りたい。写真帳を見て別れる。
11月10日、晴、10時から、台所の生ゴミを埋め、その後、隣との境に広がった若竹を剪定。イチョウの下枝も切る。
11月12日
希望
 年を取ると、食欲も無くなるのだろうか。若い頃のように、腹が減ったという感覚が無い。食べ物を思い浮かべて、生唾を飲み込むというような事が無い。家で飯を炊いても、お椀一杯も食べないし、スーパーの弁当を買ってきても、半分残しという事もある。鏡を見て、痩せている感じはないので、安心だが‥。それより心配なのは、何かをしたいと思う気持が湧いて来ないこと。朝起きて、仏様の水を変え、パソコンの前に座ってニュースを見た後は、フリーセルのゲームぐらいしか思いつかない。
 山に登りたい。あちこち旅行に行きたい。と思ったのは、チーコが一緒に居たころの話だ。今は、どうしてもしなければいけない仕事だけはするが、それ以上のこととなると、まるで意欲が出ない。何かしたいことはないのかと考えるが、何も思いつかない。独身の頃を振り返って、文学とか、絵画、魚釣りのことも考えてみるが、やろうという気になれない。未来に希望がないためだろうか。
 葛飾北斎は80歳で、まだ、猫一匹うまく描けないと言ったそうだ。絵への、それほどの情熱を持ち続けた人のことが、今の私には、想像出来ない。